いなげ司法書士事務所

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応訴管轄

              

2012年12月10日

どこの裁判所に提訴するかは管轄の問題です。

 

通常であれば、民事訴訟法で定められた管轄権のある裁判所に提訴するのが筋です。

 

ただ、原告が管轄権のない裁判所に提訴した場合、無条件に却下されるというわけではありません。

 

もし、被告が、管轄違いの主張をせずに、第1回目の口頭弁論期日で弁論をしたような場合は、その裁判所に管轄権が生じます。

 

これを

 

「応訴管轄」

 

といいます。

 

しかし、裁判所の対応としては、法律上の管轄権が認められない訴状については、原則的には応訴管轄の可能性を考慮しないで対応しているようです。

 

例外的に、被告が応訴しなければ、最終的には管轄が生じないことを事前に原告に説明したうえで、被告への訴状送達をおこなうといった運用の裁判所もあります。

 

ところで、通常の裁判では、被告は答弁書や準備書面を提出したうえで欠席する擬制陳述がおこなわれることが多いです。

 

このような擬制陳述がおこなわれた場合に応訴管轄が生じるのかが問題となりますが、この点については応訴管轄は生じないとされています。

 

これは、そもそも管轄違いの裁判所に被告が出頭する義務はないからです。

 

よって、応訴管轄が生じるには、基本的に被告が裁判所に出頭し、答弁書もしくは準備書面を陳述する必要があるとされています。

 

なお、訴訟要件の欠缺を理由に、被告が訴え却下の申し立てをしたり、事実や理由を一切書かずに単に請求棄却の裁判を申し立てただけでは応訴管轄は生じないとされています。

 

このように、本来は法的な管轄権がない裁判所に提訴すると、裁判所から門前払いにされる可能性も高いので、被告の応訴管轄に期待して提訴するというのはあまりお勧めできません。

 

過払い金の返還請求訴訟においては、原則的に借主の住所地の裁判所か相手業者の本店所在地を管轄する裁判所に管轄があります。

 

通常であれば、借主の住所地に提訴しておけば問題はありませんので、あえて管轄権のない裁判所に提訴することは考えにくいところですが、

 

もし、何らかの事情で住所地の裁判所に提訴したくないというのであれば、応訴管轄を期待して管轄権のない裁判所に提訴するのではなく、相手業者の裁判所に提訴するのが無難と思われます。

 

 

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